『墓標なき八万の死者』(角田房子)

『墓標なき八万の死者―満蒙開拓団の壊滅』(角田房子/中公文庫)

「私は満州からの引き揚げよ」「子どもの頃は満州におった」

ときどきお年寄りからそういう言葉を聞く。

そのわりには、“満州”についてよく知らない。

どんな経緯で日本から渡ったのか、どんな暮らしをしていたのか、そしてどのように帰ってきたのか、そのとき何があったのか。

そういえば、私の祖父も若いころは満州にいて、野球で活躍していたと聞いたことがある。

知ってるようで知らない満州。

昭和42年に書かれたこの本は、驚くことばかりだった。

昭和20年8月9日のソ連軍侵攻を機に、一転した満蒙開拓団の生活。

略奪、虐殺、餓死、病死、そして集団自決。

凄まじい状況の中で逃げ、生き、死んでいく。

読みながら、ただただ言葉を失う。

数え切れないほど多くの人が、墓もなく、遠い大陸でのたれ死に、骨さえ風雨に朽ちていった。

著者は「あとがき」でこう述べる。

<私たちは―私もその一人であったが―アウシュヴィッツ強制収容所など、ナチス・ドイツのユダヤ人虐殺についてはかなりよく知っているが、同じ日本人でありながら、満蒙開拓民の血でつづられた受難史から引き出される重大な問題には、案外に無関心ではなかったか。(中略)開拓民の受難の記録を私は書いたのだが、これは物語ではない。あくまで事実だけを追った。>(288頁)

これが真実なら「知らなかった」ではすまされない。

【今日の一句】

2015/ 5/ 8  8:45

スマホ見る 首が「く」の字に 折れ曲がる

まずは自覚から。

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