日本人なら読んでおきたい一冊

『死の淵を見た男━吉田昌郎と福島第一原発の五〇〇日━』(門田隆将/PHP研究所)

2014071322260000.jpg

東日本大震災で福島第一原発が壊滅的被害を受けたそのとき、現場の人たちが何を考え、どう行動したか、について100名近い人にインタビューを行なってまとめたのがこの本です。

この本については、著者の門田氏が書いたこちらの記事で知りました。

『お粗末な朝日新聞「吉田調書」のキャンペーン記事』(BLOGOS・2014年6月1日)

朝日新聞は、震災時の福島第一原発の所長・吉田昌郎氏が政府事故調の調べに答えた「吉田調書」をもとに特集記事を連載しました。

門田氏はその記事を、事実を「逆」に報じたものとして猛烈に批判しているのです。

詳しくは上記リンク記事を読んでいただくとして、この本を読むと、「あのとき」の現場が本当はどうだったのか、実にリアルに伝わってきます。

文字どおり命を賭けて闘った人たちがいたこと。

それを知らずにいた自分が、とても申し訳なく思えました。

原発について、あるいは東電について、いろんな見方や意見があるでしょう。

ただ、あの「現場」で闘った人たちの姿は、どういう意見の人であれ、知っておくべきものではないかと思いました。

と同時に、この本を読むと、核というものがいかにとてつもない化け物であるかも痛感します。

吉田所長は言います。

<「格納容器が爆発すると、(中略)人間がもうアプローチできなくなる。福島第二原発にも近づけなくなりますから、全部でどれだけの炉心が溶けるかという最大を考えれば、第一と第二で計十基の原子炉がやられますから、単純に考えても、“チェルノブイリ×10”という数字が出ます。私は、その事態を考えながら、あの中で対応していました」>(356頁)

この言葉を受けて、班目春樹・原子力安全委員会委員長(当時)はこう言っています。

<「私は、最悪の場合は、吉田さんの言う想定よりも、もっと大きくなった可能性があると思います。(中略)福島第一が制御できなくなれば、福島第二だけでなく、茨城の東海第二発電所もアウトになったでしょう。そうなれば、日本は“三分割”されていたかもしれません。汚染によって住めなくなった地域と、それ以外の北海道や西日本の三つです。日本はあの時、三つに分かれるぎりぎりの状態だったかもしれないと、私は思っています」>(356-357頁)

こういった専門家の言葉を読むと、ぞっとします。

現場の最前線にいた人たちの苦しみ、葛藤、使命感、恐怖、家族への想いなどが、著者の筆力を通して迫ってきます。

多くの人におすすめしたい一冊です。

門田氏の別の記事→『朝日新聞の「抗議」を受けて』(BLOGOS・2014年6月11日)

【今日の一句】

2014071509060000.jpg

天井に グイーンと引かれる 意識持とう

引力に負けない。

広告

日本人なら読んでおきたい一冊」への4件のフィードバック

  1. 早速、図書館に予約しました。4人待ちだったので、意外と早く読めそうです。
    ご紹介、ありがとうございました。吉田さん、気になっていました。
    先生の本紹介ブログで、何冊も読みました。
    私の、読書ナビにさせていただいてます。

    • nagatani様
      参考にしてくださって嬉しいです。
      この本はほんと「必読」だと思いますよ。
      それにしてもA日新聞はひどい・・・
      あんまりフォローしすぎて、ボクみたいにひねくれ者にならないようご注意くださいね(笑)

    • Cissac様
      へぇ~、こんなことを“予言”していた人がいるんですか。恐ろしいですね。
      日本三分割もそうですが、「2015年に第三次世界大戦が勃発する」というのも、
      現在のウクライナやイラク情勢を見ると非常に現実味を帯びていて怖いですね。

コメントを残す

以下に詳細を記入するか、アイコンをクリックしてログインしてください。

WordPress.com ロゴ

WordPress.com アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Twitter 画像

Twitter アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Facebook の写真

Facebook アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Google+ フォト

Google+ アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

%s と連携中