「つながらない」価値

『ネットで「つながる」ことの耐えられない軽さ』(藤原智美/文芸春秋)

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佐藤さん(佐藤優氏)が「優れた思想書」と紹介していたので、読んでみました。

「ネットばかり見てると危険だよ~」というよくある論評かと思いきや、タイトルから連想されるような「軽い」本ではありませんでした。

著者は作家で、女性のような名前ですが男性です。「暴走老人」という流行語を生みだした人でもあります。時代を切り取るのに長けていると思われます。

本書で著者は、近世以来「書きことば」中心だった世の中が、ネットの普及により「話しことば」中心の世の中に変わってきていると、指摘しています。

それは、<人の思考を揺るがし、大きな不安をともなう社会がつくられようとしている>(まえがき・8頁)という著者の危機感につながっているようです。

<ここ二、三年、よく耳にするのは「絆」と「つながる」ということばです。ことに東日本大震災以降は「絆」ということばを絶対的なよりどころのように扱い、そして「つながる」ということをなかば強制していくような社会になっています。>(208頁)

こう書いた上で著者は、「つながらない価値」を見直すことを提起します。

<いま社会にあふれている「絆」「つながる」ということばに、ぼくは欺瞞の臭いを感じてしまいます。それは自己の思考力や自立をネット的な、あるいは情報的な場に回収する動きのようにも見えます。現代はむしろ他者との対話より、書きことばによる自己との対話こそがたいせつなのです。(中略)他者との上っ面の会話や技術としてのコミュニケーション力で、自分を支えることはできません。>(227頁)

ちょっと難しい言い回しですが、ボク流に解釈するとこうです。ネットのような軽くて表面的な言葉やつながりに慣れきってしまうことは、思考力や自立を低下させることである。つまり、しっかりと物事を考える力が、軽くて早いネットという媒体によって搾取されてしまうのだ・・・。

<孤立した思考世界で自己と対話することは、ネットではなく本でなければできないことなのです。そこには「つながらない」価値があります。失われつつある書きことばをぼくが捨てきれない理由もそこです。>(同頁)

ちょっと前までは、電車の中で本を読む姿が一般的でした。ところがいまはスマホをいじっている人がほとんどで、本を読む人が珍しいほどです。電車内で手にするものが本からスマホに変わっただけのように見えて、実はこれがとても大きな出来事なのだと、著者は言いたいわけです。

このような著者の論評に対しては、きっと賛否あることでしょう。特にSNSのヘビーユーザーは反論必至かもしれません。

こう書いているボクだって、現にネット上のブログに書いているわけです。要は、こういう認識をきちんと持ったうえで使用できるかどうかが、まず大切なんじゃないかと思います。呑み込まれてしまったら、見えなくなりますからね。

というわけで、

【今日の一句】

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健康の ためにネット断食 してみよう

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