『蜩ノ記』(葉室麟)

葉室麟さんに引き続きはまってます。

直木賞受賞作・『蜩ノ記(ひぐらしのき)』(祥伝社文庫)

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うーん、良かった~。なんじゃろ、このじわじわくる感じは。

どろどろとした人の闇、その中に呑まれながらも義を貫こうとする男、それらを大きく包む美しい自然描写。

まさに葉室ワールドです。

舞台の風景が、私の母方の田舎(島根の山ン中)によく似ているので、とても親しみを持って読めました。

物語の中で、高僧が、男の二人の子どもたちに名の由来を教える場面があります。

「秋谷殿がそなたたちの名をかおるとしたのは、そなたたちが香るものであってほしいとの願いを込めたのであろう。そのことを肝に銘じておかねばならぬ」
(中略)まさに秋谷は孤高で世に隠れた逸物であり、その生き様を香らせるのが、薫と郁太郎だと慶仙は言っているのだ。(230ページ)

ここにある「生き様を香らせる」というのが、葉室ワールドの鍵のような気がします。

派手さはなくとも、大きな仕事を成し遂げなくとも、たとえ正当に評価されなくとも、真摯で誠実な香りを放っていく生き様。

アメリカナイズされた「成功」や「豊かさ」の価値観が席巻する昨今にあって、日本人が本来持っていたはずの美徳を、葉室さんは実にうまく描き出してくれます。

この作品は、今秋、映画としても公開されるそうで楽しみです。

このマイブーム、しばらく止まりそうにありません。

【今日の一句】

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サササッと 体が動く ありがたさ

まだそこまで回復していませんが、、、

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『蜩ノ記』(葉室麟)」への13件のフィードバック

  1. 映画「蜩ノ記」は岩手・遠野、日本三景松島円通院、喜多方市、会津若松市等でロケが行われ秋谷ー役所広司、庄三郎ー岡田准一、薫ー堀北真希、織江ー原田美枝子が出演しています。
    昨年6月にクランクアップし今年の10月4日に公開予定です。
    ハムリン先生は西南学院大学の学生時代、映画研究会だったそうなのでシナリオも厳しくチェックされておられるでしょうし黒澤明の愛弟子小泉監督がメガホンを執っているので張り詰めた現場から素晴らしい日本映画誕生の予感がします。公開がまだ先なので健康に留意してバスタオル持参で観にいきます。

    • ひろ様
      岡田くんはあちこち活躍してますね。そうですか、ハムリン先生は映画研究会だったんですか。つかよくご存知ですね(笑)
      私もいまから公開が楽しみです。役所広司の秋谷、どんなふうになるんでしょうね。

  2. 映画「蜩ノ記」のチラシを入手しました。
    公開は10月だというのに東宝系の映画館に置いてありました。
    東宝も力を入れているようです。
    日本の美しい四季をバックに物語が展開されるようで期待が持てます。

  3. 「黒田官兵衛を語る」と言うイベントにハムリン先生が講演されるので西南学院大学(先生の母校)に行ってきました。
    講演の最後は話が脱線して映画「蜩ノ記」になりました。先生がロケの現場・試写を観て

    ※ 黒沢明の黒沢組が集結し70歳を超える老カメラマンが美しい映像を撮るためにスタッフを叱咤激励をしていたこと。

    ※ ロケの現場に柚子の木が植えられていたこと。著作に柚子の名のつく作品(2作)があるのでスタッフの方が気を利かせて植えたらしいのだが私は特別柚子だけが好きということはない。

    ※原作に大分のイグサの事を少し書いたら地元の方にとても喜んでいただいたこと。
     原作で秋谷の妻織江は病弱と書いたのに映画ではイグサの織り方を人に教えるなど元気ハツラツだったこと等を語られました。

    • ひろ様
      ほほぅ、これまた興味深いお話をありがとうございます。
      葉室先生の講演は、コメントを伺うかぎりけっこうユーモアに富んでる感じですね。柚子の話など笑えます。
      映画も必ずしも原作通りというわけではないんですね。いろんな事情があるのでしょうが・・・。
      今度広島方面で講演があったら、ぜひ教えてください!

  4. 私も予告編でウルウルしました。
    いよいよ次は試写会です。それまで健康に留意してその日を迎えたいと思います。

  5. 「Eね!蜩ノ記」を検索すると映画完成報告会見の動画を観ることが出来ます。
    役所、岡田、堀北、原田にまじり居心地の悪そうなハムリン先生も発言しますよ。

    • ひろ様
      動画、見れました~!お知らせ、ありがとうございます。
      もう紹介動画だけで涙腺がゆるんでいけません、、、
      この作品は妻も大ファンですが、映画は一人で観に行かないと恥ずかしいことになりそうです(笑)
      気づけば公開まであとひと月なんですね。楽しみです!!

  6. 美智子皇后陛下もご覧になられた宮内庁御用達?映画「蜩ノ記」を遂に観ました。
    感想は余計な先入観を与えるので控えますがスクリーンから画像が消えエンドロールが終了したとき、期せずして会場から拍手が起こりました。
    今回の試写会は「西南学院創立100周年記念」と銘打って西南学院大学が主催だったので上映に先立ち大学OB葉室麟さんのトークショウがありました。最前列で生ハムリンを見ることができました。
    トークショウの抜粋です。
    映画化について「小泉監督が久留米までお出でになり映画化のお話を伺いました。大学生のとき、映画研究部だった自分にとって黒澤監督は尊敬できる方だしそのDNAを受け継ぐ小泉監督も存知あげていたのでお任せしました」  この時点で「蜩ノ記」は原作者の手を離れ映画の脚本家の手に移るようです。
    いい例が柚子の話です。原作では柚子は出てきませんが映画では「柚子は九年で花が咲く」というセリフがあります。これはハムリン先生が人生への感慨を語るときに引用される「桃栗三年柿八年、柚子は九年で花が咲く」を小泉監督も知っておられこれを映画に使用されたようです。
    放送局を辞め売れるかどうか分からない作家デビューして九年、「まさにこの映画は私にとって九年かけて咲いた柚子の花のようなもの、堀北さんのセリフを聞いたとき胸にグッと込み上げるものがあった」と語られました。
    司会者が「今、好きな女優さんは?」との質問に六十歳を過ぎた売れっ子作家は少年の顔になり恥ずかしそうに小さな声で「堀北真希さん」
    最後に「この映画は親や友達、人には大切にするものがあることを伝えてくれています」と締めくくられました

    • ひろ様
      いつも詳細なリポートありがとうございます。
      皇后陛下もご覧になったんですね!
      最前列で生ハムリン、ですか・・・(笑)ブロマイドとか持ってそうですね。
      とにかく近日の公開が待ち遠しいです。
      最近、新渡戸稲造の『武士道』を読みましたが、その中の一章は「はらきり」についてでした。
      <我が国民の心には、この死に方は最も高貴なる行為ならびに最も切々たる哀情の実例の連想がある。したがって我らの切腹観には何らの嫌悪も、いわんや何らの嘲笑も伴わないのである。徳、偉大、優しさの変化力には驚嘆すべきものがあって、最醜の死の形式にも崇高性を帯びしめ、これをして新生命の象徴たらしめる。>
      <正規の切腹には、狂信、狂気もしくは興奮の片影をも存せず、その遂行が成功するには極度の冷静が必要であった。>
      『蜩の記』に表現される日本人の精神性は、大きく薄らぎつつあるとはいえ、いまの私たちにも脈打っているものだと感じます。ハムリン先生には、ますますご活躍してもらわないといけませんね!

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